声を大にして言います!
従業員との雇用契約書(労働条件通知書でも良し)を作りましょう!

個人的な感覚だと,5割以上の会社が作成していません。
口頭で給料だけ決めていざ実戦!という感じの会社も結構多いです。しかしこれは大問題です。

従業員との契約書=雇用契約書(場合によっては労働条件通知書)を作成していないと,従業員の
方との間で雇用条件を巡って争いになったときに,もうどうにもなりません。お手上げです。
そもそも給料がいくら,という認識からして違うということも珍しくありません。今からきっちり
備えましょう。
ちゃんと作ってます!という会社の方は,内容がそれで大丈夫か今一度確認しましょう。

1.雇用契約書/労働条件通知書に何を書くのか

(期限の定めのない社員の場合を前提とします)
雇用契約書/労働条件通知書には,
①契約期間
②就業場所・業務内容
③始業時間・終業時間
④残業の有無
⑤休憩時間
⑥休日,休暇
⑦シフト制の場合には,就業時転換に関する事項
⑧賃金,賃金の計算方法,賃金の締め日,支払日,支払い方法
⑨退職に関する規定
を絶対に書かなければいけないとされています(労働基準法15条)。

ちなみに以下の内容は書いても書かなくてもいい事項となっています。
⑬賞与や手当の有無,その内容
⑭退職金の定めが適用される労働者の範囲,退職金の決定方法,計算方法,支払日等
⑮労働者の費用負担が発生するもの
⑯安全衛生に関するもの
⑰職業訓練に関するもの
⑱災害補償及び業務外の傷病扶助
⑲表彰および制裁
⑳休職に関する事項
㉑昇給に関する事項

⑬~㉑についても会社にこれらに関する制度がある場合には書いておく必要があります。
たいていの場合は就業規則にこれらに関する事項が載っていますので,「就業規則の定めるところによる
」という感じで書いておけばいいですね。
ただし就業規則の交付・周知など,その従業員が就業規則の内容を理解できるようにしておく措置は必須
です。

雇用契約書と労働条件通知書ってなんなのよ,と思った方はこちら

雇用契約書のひな形ないの?と思った方は、弁護士を顧問につけることを検討しましょう(宣伝)。
そもそもひな形の利用は危険の元です。トラブルになってから「この内容はまずい」となるケースが散見
されますので、ささっと弁護士に作ってもらった方がいいです。

2.就業規則,賃金規程との齟齬はないか

さあ,雇用契約書/労働条件通知書ができました。これでばっちり!というわけにはいきません。
その契約書や通知書,会社で準備してある就業規則や賃金規程と内容が合っていますか?

就業規則や賃金規程は,会社を設立した時に適当に作った,とか,従業員の人数が10人を超えたから誰かに言われて
慌てて作った,というパターンも多いです。その場合,経営者の方は内容をよく把握していないことがほとんどです。
その結果,雇用契約書/労働条件通知書と就業規則や賃金規程の内容が合っていない!ということもよく起こります

そのため、雇用契約書/労働条件通知書を作成したら,就業規則や賃金規程と内容が合っているかどうかの確認が必要
です。

就業規則や賃金規程の内容と雇用契約書/労働条件通知書の内容が違っていると,いくら雇用契約書/労働条件通知書
に色々定めたとしても,原則として就業規則や賃金規程の内容が優先して適用されてしまいます。
そのため,後から思ってもみない項目に関して請求される,なんて事態になりかねません。

3.まとめ

(1)雇用契約書/労働条件通知書を作成しましょう。
(2)雇用契約書/労働条件通知書の内容が就業規則と合っているか確認しましょう。

また、そもそも作っていない会社の方は、弁護士や社会保険労務士に書類の作成を依頼した方がいいです。
労働条件や契約内容は会社によって千差万別のため、ひな型の利用はおすすめできません(大事なことなの
で2回目)!