1.契約書を作る
おい!当たり前だろ!何言ってんだ!と思ったそこのあなた。
私の個人的な感覚だと,7割以上の運送会社が契約書を作成していません。
ほとんどの会社が作っていないと言ってもいいと思います。
なにがなんでも契約書を作る!そこから最強の運送会社への第一歩を踏み出しましょう。
契約書の作り方なんてわからない~と思ったらすぐ弁護士を探した方がいいです。
ネットに転がっているサンプルをそのまま使うのはやめましょう。
2.取引先の運送約款を確認
荷主の運送約款って確認したことありますか?
正式には「標準貨物自動車運送約款」と言います。
運送約款って,貨物自動車運送事業の許可を得るときにみなさん必ず用意しているはずです。
ただ今の法律だと,国土交通大臣の定める「標準貨物自動車運送約款」と同じ内容にすれば
その約款は認可を受けたものとみなされるんです。 そのため,それをまんま使用している運
送会社の方がほとんどです。 でもこれ内容をよく見てみると,結構大事なことが書いてある
んです。 契約書を作る前に運送約款もきちんと確認しましょう。
ちなみに運送約款は平成31年4月に改正されていますので,標準貨物自動車運送約款を掲示
している会社の方は,最新のものが掲示されているかきちんと確認しましょう(最新のもので
はないものを掲示orオリジナルで作成したものを掲示する場合には,認可が必要です。認可な
くそれらを使っていると,監査時に処分の対象となります)。
3.契約書を作る
はい,やっときました。契約書を作る。
では,契約書に入れた方がいい条項についてみてみましょう。ちなみに以下はこのページを見
ている運送会社の方が受託者(依頼を受ける側)であることを前提に記載しています。委託者
の場合には別の観点からの検討が必要なので注意しましょう。
①委託業務の内容
これがないと業務の範囲がわからないので必須です。
きちんと範囲を書いておかないとこっちはA→B間の配送を受けたと思っていたのに,荷主は
A→B2回旋と思っていたなんてこともよく起こります。
②委託料&支払い方法
これも絶対必要。委託料を記載しておかないと終わった後から減額要求なんてことも起こり得
ます。また,委託業務の内容と同様,あいまいな内容で受託していると,こちらが想定していた
金額を得られず赤字なんてことも起こり得ます。
委託料はいつまでに支払われるのか,その際の振込手数料はどっちが負担するのかも定めてお
きましょう。あまりにも遅い支払いだと下請法に引っかかる場合もあります。
③配送中の事故の責任
配送中に事故が発生した場合,委託者/受託者どちらが対応するのか,その責任はどちらが負
うのか明記しておきましょう。できれば委託者に負ってもらいたいところです。
④保険
委託業務に関係する必要な保険を付けておきましょうという条項です。
委託者も受託者も通常の保険には入っていると思われますが,本件契約に必要な保険などがあ
るかどうか,ある場合はその費用負担も定めておきましょう。
⑤契約を遂行するために必要な費用
委託者からの委託を行うために何らかの措置が必要な場合(例えば,トラックを新たに用意す
る必要があるなど),その費用負担がどうなっているのか明確にしておきましょう。
「仕事をあげるから」と言われてトラックを用意したのに,その後仕事が貰えなかった!とか
そういう話は結構多いです。
⑥再委託の可否
委託者からの委託をこちらがどこかの会社に再委託できるようにしておいた方がいいです。
⑦秘密保持
委託を受けるにあたって委託者に開示する営業上の秘密などを,受託者の許可なく勝手に開示
しないよう規定しておいた方がいいです。
そんな会社あるんかいな!と思うかもしれませんがあります。事実は小説より奇なり,です。
⑧個人情報の保護
これは一般的な規定として入れておきましょう。
⑨契約期間と更新
この契約がいつまでのものなのか,明記しておきましょう。
またその契約期間が終わった後,契約が更新されるのか,更新される場合の手続についてもはっ
きりと記載しておきましょう。
⑩損害賠償
これ,めちゃくちゃ大事です。
賠償をしなければいけないのは民法上当たり前なのですが,その上限をどうするのか,間接損害
をどうするのか必ず記載しておきましょう。ここ適当に書いてると万が一の場合に会社を左右しか
ねない事態になりかねません。
⑪不可抗力が起きた場合
不可抗力(天災とか感染症の流行とか)で契約どおりに物が運べなかった場合,受託者は責任を
負わないということを明記しておきましょう。こちらにはどうすることもできないにもかかわらず
責任を負うことを回避しましょう。
⑫途中解除
期間内であるにもかかわらず解除することができるか,できるとした場合,それによってどちら
かが損害を被った場合どうするのか規定しておきましょう。
⑬解除
どういう場合に解除できるのか規定しておいた方がいいです。また,その解除にあたって,1度
は猶予を与えるのか,即刻解除できるのかも規定しておく必要があります。
⑭譲渡禁止
契約上発生する権利や義務を許可なく譲渡してはいけない,ということも規定しておく必要があ
ります。委託者が委託料支払いの義務をわけのわからない第三者に譲渡してしまったら困ります。
⑮その他
15個目ともなると読むのも疲れてきたと思います。
が,まだまだあります。
その他としては,反社会的勢力の排除,紛争になった場合の裁判管轄,契約終了後にも当事者間
を拘束する規定,も記載しておく必要があります。
上記は必要最低限の規定,という感じです。
めんどくさ!と思われるかもしれませんが,いずれもトラブルになった際に会社を守る大事な規定
になります。
会社を守るための契約書,ぜひつくりましょう。