ざっくりと監査について理解したい!という方向けの解説になります。
細かいことを知りたいぜ!という方には向いていませんのであしからず。
運送会社への監査(運輸局によるもの)には、大きくわけて2種類あります。
1つは、特別監査
1つは、一般監査
です。
適正化事業機関の行う巡回指導というものもありますが、それは監査とは異なる
ので、監査=運輸局の行うものと考えてください。
1.特別監査について
(1)特別監査(略してトッカン)とは、簡単に言うと、会社真っ青の事故が起きた
ときに入られるやつです。
第一当事者と思われる死亡事故や悪質違反を伴う事故など社会的に影響の大き
い事故を起こしたときや悪質違反を犯した運送事業者に対し実施する監査のこと
をいいます。
特別監査に入られた運送会社はだいたい死亡事故がきっかけになっているパタ
ーンが多いなというのが私の印象です。先ほど、第一当事者(過失が大きい方)
と思われる死亡事故と記載しましたが、「これホントに第一当事者なのか?」と
思う事故でも特別監査に入られた会社もありました。
そのため、死亡事故が起きたら特別監査と思っておいた方がいいと思います。
事故の後にすぐ来る!とかではないですが、事故後1か月とか2か月とかそう
日がたたないうちにある日突然支局がやってきます。
でも中には「入るよ~」という通知が前々日に来た会社もありました。この辺
担当官によって運用が様々ですが、ある日突然来るのを覚悟しておいてください。
(2)何を監査されるのか?
全般にわたって法令を遵守できているのか見られます。それはそれは徹底的に。
普段から基本的なことを実施できていないと見事に一から十まで色々指摘され
ます。事業の存続を左右する事態になりかねません。
普段から何もやっていないよ!という場合はもはや祈るしかできません。
くわばらくわばら。
2.一般監査について
(1)特別監査以外のものを一般監査といいます。
どういうときに来るのよ?というと、
・労働局からの通報
・誰かからの通報
・適正化機関からの通報(評価D以下の場合)
・運輸局が必要と認めたとき
etc…
と、そのきっかけは多岐にわたります。
まぁとりあえず必要だったらいつでも来るというのが一般監査です。
私の扱った事例で言うと、労働局からの通報、元従業員からの通報、事故という
のが結構多いなという印象です。もちろん支局は「〇〇からの通報で来ました~」
とか言わないですが、元従業員が労基に駆け込んだら監査来たぞ、などタイミング的
にそうかなというのが多いです。
支局にたれこむぞ!とわめいて辞めた従業員の方がいて、3日後に支局から連
絡ありました、というパターンもありましたので、従業員とのトラブルには要注
意です。
一般監査も特別監査同様、いきなり来るケースもあるし、何やら事前に通知が
来たぞというパターンもあります。が、基本的にはいきなり監査だと思っておい
た方がよいです。
(2)一般監査では何をみるのか
一般監査では重点事項を見るとなっていて、その重点事項とは
・事業計画を守っているか
・運賃や料金は適正にもらっているか
・損害保険の加入状況
・名義貸し行為がないか
・社会保険等の加入状況
・賃金の支払い状況
・運行管理の実施状況
・整備管理の実施状況
となります。
結局全部みたいなもんですね。
特別監査と一般監査という名称からして、一般監査は緩いんじゃないかと
思っている会社も多いです。確かに特別監査ほどではないですが、それでも
何らかの指摘があるケースが多いです。油断禁物です。
3.監査において何が大事か
監査において大事なことは2つ!!!
☆自認書の内容が合っているか
☆監査がきたらすぐ弁護士か、いつもお願いしている行政書士に相談
ほんとに大事なので色を変えましたよ。
以下解説です。
(1)自認書の内容が合っているか
支局が監査にくると、監査の最後に、「私の違反した項目は〇〇です」という自認書なる
書類を書かされます。
これ、よくわからずに言われたとおりに書いてしまう会社が多いのですが、自認書と
いうのは刑事で言うと自白調書と同じなので、かなり重要な意味を持っているのです。
自認書の内容をよく理解して、おかしい・そんなことないと思う点があったらその場で指
摘することが大事です。またはその場ではサインしない対応も時には必要になります。
特に、監査においては証拠はないけど監査時のやり取りで〇〇と認定できるという理由で
違反をとってくるケースがあるので、あとで言った言わないという事態になることも少なく
ありません。
その場合「だって自認書あるじゃないですか」と言われてしまいますので、自認書を軽く
扱わず、穴が開くほど確認して説明を受けてください。
(2)監査を受けたら弁護士に相談
予告監査の場合、予告された日に弁護士が立ち会えるのがベストです。
しかし都合が合わずに立ち会えないという場合、監査を受けたらすぐ弁護士に相談しましょう。
その際には、どういう指摘を受けたか説明できる必要がありますので、監査で指摘された事項
についてよく覚えておきましょう。覚えられるかー!という場合にはメモをしっかりとってお
きましょう。
その上で事実誤認されているところがないか弁護士に確認してもらいましょう。
監査が入ってから予定処分通知(こういう処分を予定していますよ、という通知)が来るまで
には結構なタイムラグがあります。
他方、予定処分通知が来てから弁明ができる期間は10日しかありません。
10日の間で弁護士に相談して、資料を集めて反論をして・・・というのは現実的ではありま
せんので、予定処分通知が来るまでの間に資料や反論の方針をじっくりと組み立てる必要があり
ます。
4.まとめ
事故はいつ起こるかわかりません。監査もいつ起こるかわかりません。
なので、普段から点呼などをキッチリ行うことに越したことはありません。
でも、それができないから皆さん色々悩んでいます。
監査は防ぎきれないので、来てしまったらすぐに「方針をどうするか」弁護士と対応を検討するのが
ベストです。監査は営業停止等の大きなペナルティーを伴うものです。そのため、「何とかなるだろう」
と思わずに、すぐに対応しましょう。