1 それぞれの定義
雇用契約書とは、会社と従業員との間で合意された雇用条件を書面化したものです。
労働条件通知書とは、会社から従業員に対し「当社における労働条件はこうだよ」と、その内容を
一方的に通知するものです。
2 どう違うのか?
従業員の方に入社していただく場合,会社は,労働条件を明示しなくてはいけません(労働基準法15
条1項)。また,それは書面または電磁的方法で明示することが求められているため,一般的には「労
働条件通知書」にて法律上規定された事項を通知している会社が多いです。
決められた事項が記載されているのであれば,「労働条件通知書」という名称じゃなくても大丈夫です
が,入社される方にとって法律上決められた労働条件の明示がされているんだなぁとわかる必要があり
ます。
で,同じようなものに「雇用契約書」というものがあります。雇用契約書は,従業員の方と会社との契
約書です。
内容は労働条件通知書と似たような,法律上明示が要請されている事項+αぐらいの事項を記載している
ことが多いですが,雇用契約書/労働条件通知書,どっちを作ればいいの?という疑問を持つ方も多い
です。
3 どっちを作ればいいのか?
結論からすると,余裕があるなら雇用契約書を作りましょう,です。
理由は,一方的通知なのか,当事者間の合意なのか,という点にあります。
労働条件通知書は,通知書の名の通り,会社が従業員の方に一方的に通知しているだけなのです。署名押
印欄もありますが,内容を把握して署名押印しているのか,それとも受け取ったという意味での署名押印
なのかわからないこともしばしばあります。
そのため,受け取ったけど内容は承知していない!とか受け取ったという意味で署名押印しただけ!言わ
れることもあります。会社からすると,そ,そんな~と思いますが,たまにそういうトラブルが起きます。
他方,雇用契約書であれば,従業員の方と会社との合意内容が書面化されていると扱われます。雇用契約書
に書いてあることを知らなかった!とか後で言われても,その主張はなかなか通りずらいです。また,契約
書は通常,2通作成してそれぞれが1通ずつ持っておくスタイルを取りますので,受け取ってない!とか言
われる心配も少ないです。
そのため,会社に余裕があるのであれば,従業員との間で,労働条件通知書を兼ねる雇用契約書を作成して
おきましょう!